終わりと始まりの物語

STAR WARS EP.9

スカイウォーカーの夜明け

 

公開から2日目の土曜日に観に行きましたので、感想をまとめようと思います。もちろんネタバレしまくります、お気をつけください。本当はもう少し早く書きたかったけど、色々と忙しくて遅くなってしまった……

 

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あ〜〜〜俺STAR WARSずっと好きで良かったぁ〜〜〜!!!!!(号泣)

 

別にオタクと呼べるくらい語れるわけではないのですが……STAR WARS(以下SWと略称)を初めて観たのは幼稚園の頃だったか、小学校低学年だったか……EP.1ファントムメナスが、初めて鑑賞したSWでした。

当時、両親共々めちゃくちゃハマってしまいまして(父は元から好きだったらしいですが)、実家には今でもEP.1のグッズを中心に色々飾ってあります。いま実家暮らしではないので、この場で写真を用意できなくて残念ですが……

ライトセーバーの玩具をはじめ、ポッドレースでアナキンが被っていたヘルメットや(実際被れます)、当時ペプシコーラに付属していたEP.1〜3までのボトルキャップ(応募限定も含め)ほぼ全種、等々……それらを飾ってある棚がリビングにあったり、

玄関を開ければ、自分がレゴブロックで作ったSWのシーン再現を飾った棚が目に入ったりします。

 

それくらい子供の頃からハマっていたSWですが(いきなりEP.9とは関係無い自慢話でごめんなさいw)……とうとうそのサーガに終止符が打たれたわけです。

 

率直な感想を言うと……EP.9最高でした。J.J.エイブラムス監督、ありがとう。

後でいくつか語りますが、今回のEP.9は、これまで成し得なかったこと、ファンが一度は考えたことを上手くやってのけてくれた上で、一本のエンターテインメント作品として纏めてくれたところが、本当に見事でしたね。

確かにEP.8は賛否両論で、自分もいくつか見かけた批判意見には「まぁ気持ちは分からんでもないな……」と思ったりもしましたが……信じて待っていて、良かった……やっぱり、終わり良ければ全て良し、ですよ。

まぁ自分はEP.7も8も好きなんですけどね。元から、あまりファンサービスというものに対する熱がそこまで大きくない人間なので、むしろ過去作に囚われすぎないものを作ってほしいと思っていましたし。何なら7のハン・ソロの死や、8のルークの豹変っぷりに関しても、自分の中で納得できる答えを出して、鵜呑みにしていたので……。

まぁだからこそ余計に、今回のサービス精神に涙腺を枯らされたんですけど……w

 

そんなEP.9は集大成ということで、真に楽しむにはこれまでの予備知識が必要なのは当然ですが、それが無くても、初見の方がパンフ買ってキャラ紹介ざっと読んで映画に挑めば、それだけで楽しめたんじゃないかなと、そう思えるくらいエンタメ性が高かったように思えます。

実際、職場にいらっしゃったんですよ。

「旦那が好きで、今までのSWも無理やり観させられてどれも面白くなかったけど、今回のは面白かった!」

って仰る方が笑

まぁSFって本来かなりマニアックなジャンルですし、興味ない人にとってはとことん面白くないですよね……

しかし身近で一人だけとはいえ、そんな方にも「面白い」と言わせたのですから、やはりEP.9はいち映像作品として万人受け寄りな映画に仕上がっていたな、と。

そこに、やっぱりルーカスフィルム時の硬派な作風を忘れられず、違和感を覚える方もいらっしゃると思いますが、自分としては、シリーズ集大成なのだから最後くらいエンタメで良いのでは?って感じです。もちろん気持ちは分かりますけどね。

 

そんなEP.9ですが、エンタメ性はもちろん、前述した通りファンサービスが堪らなくて……過去作品観てると本当に感動ポイント的なシーンは多かったと思います。自分は思い出補正もあり、恥ずかしながら中盤からはずっと涙目でした。

 

以下、キャラに視点を絞って語りたいと思います。

 

①ランド・カルリジアン

過去作ファンならば熱くなって当然の、ランドの登場。今回のEP.9でも、美味しいポジションとなったキャラでした。

惑星エクセゴルに、ミレニアム・ファルコンの操縦桿を握り、船団を引き連れてきた彼の姿。ハン・ソロに賭博で負け、ミレニアム・ファルコンをソロに譲ったランドですが、この展開には鳥肌が止まりませんでした。

またジャナという、かつてファースト・オーダーに拉致された彼の娘との再会も、今後のランドの物語を想起させられて、彼のキャラクター性が更に深まったと思います。ランドとジャナが、お互いの関係を知らないまま旅を始め、その果てでランドを父と知るジャナを想像するのも面白いです。やはりSWには家族愛が欠かせないなと、そう感じます。

 

②ベン・ソロ

見出しは敢えてレンではなく、この名前で。

中盤から怒涛の勢いで涙腺を揺さぶってきたキャラでした。

まずレイとの決戦の場が旧デス・スターの亡骸とかいう激アツな展開だったわけですが、レイアの助力により僅かに隙を作ってしまったレン……EP.8のラストもそうでしたが、本当に未練がましいところがレンのキャラクター性としての強みでしたよね。

 

少し余談ですが、レンのライトセーバーは出力が不安定という設定があり、よく見ると確かに光がブレているのですが(音も歪)、この設定がまさに、家族愛に揺さぶられ、精神的に不安定なカイロ=レンという人物のメタファーになっているんですよね。

 

そして、亡き父ハン・ソロの幻影に説得され、その不安定な自分の分身であるライトセーバーをレンは海へ投げ捨て、ベンとして覚醒します。

両親からの愛を受け、暗黒面から抜け出すここまでのシークエンス、涙なしには語れません。

 

そして、惑星エクセゴルにて皇帝パルパティーンと対峙するレイの元へ駆けつけるベンが、レイとフォースで繋がり、その手に青のライトセーバーを握るシーン……思わず小さくガッツポーズをしてしまいました。

 

ここまでも十分熱かったですが、まだ終わらないベンの名シーン。というか尻上がりに名シーンを更新してゆくベンには本当に泣かされっぱなしでした。

ハン・ソロとの和解もボロ泣きでしたが、やはり最期の、レイの命を繋ぎ止めて、笑顔で息を引きとるシーンも強烈でしたね。涙で両頬が潤ってましたw

この時、フォースと一体となったベンの身体が消えるのですが、同時にレイアの身体も、この時消えるんですよね……

デス・スターでの決戦時に、フォースによる助力で力尽きたレイアは既に亡くなっていたんですが、この時は身体がまだフォースと一体にならなかった。最初は、何故?と思いましたが……

ベンと一緒に消えるシーンを見て、あぁ、息子を待っていたのか、と。R2-D2につられる形で、更に追加で落涙しました。

 

愛する人を救えず、暗黒面に堕ちてしまったアナキンに対し、暗黒面に堕ちても尚だれかを想う気持ちを忘れず、暗黒面から脱却し大切な人を救ったアナキンの孫、ベン。

スカイウォーカー家の悲願の1つを、彼は見事成し遂げてくれました。

 

③レイ・スカイウォーカー

予告の次点で、パルパティーンが生きていると聞いて、予感はありましたが……

惑星パサーナで見せた、皇帝と同じ雷撃の如きフォース、あれが決定的でしたよね。

最後のジェダイが、シスの皇帝の孫。その強大すぎる力故に、前作の時点で既にルークもレイアも気付いていたようですが……驚きはそれほどありませんでしたが、レンが執拗にレイを求めた理由としては十二分過ぎて、納得でした。

 

幾度となくレンに惑わされ葛藤する中、デス・スターの亡骸で自らの可能性……シスに堕ちた自分の未来像と戦うシーンは、とても緊迫感がありました。……あの闇に堕ちたレイのライトセーバーがめちゃくちゃカッコいいと思ってしまったのは、許せ……毎回シスのライトセーバーのデザインが奇抜で魅力的なのが悪い……。

 

自分の過去を知り、他でもない自分自身に恐怖した挙句、墜落し燃え盛るタイファイターの残骸へとライトセーバーを捨てようとするレイ。全てを無かったことにしたかったんですよね。

ライトセーバーを捨て、ジェダイでは無くなると同時に、現実から目を逸らし、パルパティーンというファミリーネームからも逃げようとした。

何も知らない頃の、ただのガラクタ集めに戻ろうとした。

しかしそれを許すまいと、レイが投げ捨てたライトセーバー(アイデンティティ)を受け止めるルーク……登場すると分かっていても、感動しました。

そして、レイを惑星エクセゴルまで運ぶ役割を担ったのがXウィングという胸熱展開……思わず「おおお」と声が出そうになりました。

 

惑星エクセゴルでの最終決戦では、やはりレイを鼓舞するジェダイたちの声が聴こえてくる演出に涙しましたね……さすがに自分の知識量では、全員の声を把握できたわけではありませんでしたが、オビ=ワンやクワイ=ガン、アナキン、ヨーダ、マスターウィンドゥ……分かったところだけでも錚々たるメンバーで、正に集大成というものを感じさせる演出でした。

 

そして、サブタイトル回収となったラストカット。トドメの一撃でしたよね。

最後の最後に、レイが訪れた惑星がタトゥーイン……アナキンの故郷だったんですから。

シミ・スカイウォーカーが亡くなってから、誰も訪れることのなかったあの始まりの地に、レイは戻ってきてくれた……。ベン同様、レイもまた、新たなスカイウォーカー家として、その一族の悲願を果たしてくれました。

 

EP.1〜6の過去6作品ではアナキンの生涯を中心に描き、ヴィラン誕生の瞬間に我々を立ち合わせる物語でしたが、

EP.7〜9は、レイが成長し、全ての悲しみに終止符を打ってくれた、正に「夜明け」と呼ぶに相応しい物語だったと思います。

 

ここでも余談ですが(しかもファンからすれば今更な話ですが、良い機会ですので書いておきたくてw)、

先程過去6作品を「アナキンの生涯」と捉えて書きましたが、これはEP.1からナンバリング順に見ると、そうは捉えられないのかも知れません。

要するにEP.1〜3は、ダース・ベイダー誕生までの過去編としての役割を担うために、敢えて公開順をEP.4〜6の後にしたんですよね。そうすることによって、ダース・ベイダーという、今となっては多くの人々を魅了するカリスマ性の高いヴィランに、「味」を出させたのだと。

ナンバリング順に制作していたら、ダース・ベイダーというキャラクターにここまでの人気は生まれなかったと思うし、このEP.1〜6の物語を「アナキンの生涯」と捉えることは難しいと思います。

加えて、この公開順の凄いところを改めて語ると、その世界観とフィルム製作環境をマッチさせたことですよね。

クローン戦争終結を中心に考えると、戦時中(EP.1〜3)よりも戦後(EP.4〜6)は、帝国を除いた宇宙全体の技術力が退化しており、CG技術と相性が良いのは、確実にEP.3までの物語なんですよね。ナブーの外観とか、スピーダー1つ見ても、昔のジオラマ特撮技術で描くには難しいですから。

EP.4〜6から製作することによって、当時の特撮技術で荒廃した世界観をメインに描き、

EP.1は、その世界観を表現するのに必要なCG技術が確立してから、製作を始めた。

やっぱりこう書いていると、ジョージ・ルーカス氏がいかに素晴らしい監督だったかが、よく分かりますよね。この采配は中々思いつかないですし、それゆえにルーカスフィルムに囚われ過ぎるのも、仕方のないことだとは思います。

しかし、この制作順にすることによって、実はルーカスフィルムのSW6作品は、巷で人気という割に悲惨なラストということになるんですよね。アナキンを軸に捉えるなら、というか、そう捉えるように仕上がっているので。

だからこそ……やっぱり自分は、その悲劇的に描かれた物語に明るい夜明けを以て完結させてくれた、この新章3部作も大好きなんだ、という余談でした。

 

西洋のことわざに「夜明け前が一番暗い」というものがあります。

つまり夜明けとは、闇から光……絶望から希望へと移り変わる、その瞬間を意味します。

レイという一人の人間が、パルパティーンという絶望の象徴との関係を断ち、スカイウォーカーという希望の象徴を掲げ、新たに歩き始める物語もまた、1つの「夜明け」なのでしょう。

 

そして、この新たな夜明けを迎えるにあたり、故郷の地へライトセーバーを沈めるシーンも印象的でした。

ライトセーバーは、ジェダイの魂。

レイが使っていたライトセーバーは、敢えて言うならば旧スカイウォーカー家のもの。それらをタトゥーインの地へ沈めることによって、彼らへの手向け(返還)としたのでしょう。

そして、ジェダイとしてではなく、新たな1人の人間として、レイの人生の旅路の第一歩が、始まります。

 

レイ・スカイウォーカー。その名を、敢えて日本の慣しに沿って読むと

「空に架かる光」

という意味に捉えることができると思います。

素晴らしいサブタイトル回収でした。

 

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以上で、自分のSWに対する感想は、終わりです。

長きに渡って語られてきたSWサーガに幕が下されたこと、色々な感情がありますが、とにかく本当に良かったと、幸せな気持ちでいっぱいです。

 

この素晴らしい作品群を生み出してくれたジョージ・ルーカス氏。

その物語に、希望溢れる真の結末をもたらしてくれたJ.J.エイブラムス監督。

そしてSWに関わった全てのスタッフに、感謝を込めて。

 

フォースとともに、あらんことを。